ナンタケットバスケットの材料 ~タグアナッツ(象牙椰子)について
- halenohibasket

- 11月4日
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ナンタケットバスケットの飾りには、さまざまな素材が使われます。
象牙、牛骨、鯨骨、鹿角、タグアナッツや木材などの自然素材に加えて、アクリルのような化学素材もあります。自然素材の魅力は、一つひとつに異なる表情があること。時間とともに深まる艶や、光の加減で変わる陰影は、手に取るたびに新しい発見があります。一方で化学素材には、変化の少なさゆえの安心感や、扱いやすさという魅力があります。どちらが良いということではなく、用途や季節に合わせて選べる楽しみがあるのが、バスケットの奥深いところです。
今回ご紹介するのは、キャンディバスケットの飾りとして人気のある「タグアナッツ」。日本語では「象牙椰子(ぞうげやし)」と呼ばれています。
熱帯の森で育つ椰子の実の種で、外側は茶色い殻に覆われ、内側は象牙のような乳白色。磨くとしっとりと艶を帯び、手のひらに収まる小さな塊から、自然の恵みとその個性を感じます。
古代エクアドル周辺の原住民は、このタグアナッツを彫刻や装飾品として用いてきました。19世紀後半から20世紀初頭にかけては、象牙の代用品として世界中に広まり、ボタンやアクセサリー、印鑑などに姿を変えました。日本でも、江戸時代には根付(ねつけ)の素材として親しまれていたそうです。
やがて第二次世界大戦の頃になると、プラスチックの登場によって一時その姿を消します。
しかし近年、SDGsの広がりとともに、再び光を浴びるようになりました。象牙の密猟が後を絶たない昨今、象牙に代わる自然素材として、持続可能で環境にもやさしいことから、再評価されているようです。その背景には、人と自然がもう一度、穏やかに寄り添おうとする価値観の芽生えが感じられます。
こんなに小さく愛らしい飾りが、動物たちの命を守る取り組みの一端を担っていると思うと、自然素材がもつ静かな力と、その尊さに、あらためて心が動かされます。
記事引用:
メイドインアース
森から世界を救うREDD+プロジェクト


