バスケットと旅 京都府伊根町
- halenohibasket

- 6月20日
- 読了時間: 2分

今日は旅の相棒として、バントレイバスケットを選び、舟屋の残る静かな田舎町を訪ねました。
どこか船を思わせる細長いフォルムのバントレイバスケットは、今回訪れた舟屋のある町の風景によく馴染みます。白いリネンの内袋を合わせると、それはまるで小さな帆のように見え、旅の気分をやさしく盛り上げてくれます。
このバントレイバスケットは、縦に86本の籐(ステーブとよばれています)を配して編まれたもの。5年ほど前の作品のため、エイジングにより色艶の深みが増し、手に取るたびにその美しさと味わいを実感します。収納力もたっぷりで、iPad mini、日傘やその他小物類を入れても余裕があり、旅のお供にぴったりです。
ナンタケットバスケットは、海で生まれたバスケットです。ナンタケット島では「ライトシップ(灯台船)バスケット」とも呼ばれています。それは1856年の灯台船「The Nantucket No.1 New South Shoals lightship」の船員たちに由来するそうです。
かつてナンタケット島周辺の海域は、航行が非常に困難な場所でした。特に島の南35マイルに位置する南浅瀬は、数多くの船が難破した危険な海域で、灯台を建てることが難しいため、船そのものを灯台の代わりとする「ライトシップ(灯台船)」が、沖合の浅瀬や岩礁に配置され、航行の安全を守る役割を果たしていました。
船員は揺れの強いライトシップの船上で、長い時間を過ごす気晴らしとして、また副収入を得るためにバスケットを作り始めたといわれています。船上で磨いた技術は、やがて島に持ち帰られ、ナンタケット島の工芸品として美しいバスケットが文化として根付いていきました。
一見華やかなこのバスケットの背景には、過酷な海の暮らしの歴史があったことを、私たちは忘れずにいたいものです。
舟屋を改装した宿に泊まり、二階の窓から眺める舟屋群と、その向こうに広がる碧い海。その美しさに心を奪われながら、静かな波音に耳を傾け、ゆっくりと沈む夕陽を眺めながら、ライトシップの船員たちに思いを馳せました。バスケットとともに旅することで、その土地の風景や物語が、より深く心に刻まれていくように感じます。
記事引用:NANTUCKET HISTORICAL ASSOCIATION
"A Short History of Nantucket Baskets"

