ナンタケットバスケットと、編むひとの静かな時間
- halenohibasket

- 2025年12月31日
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— C先生にお話を伺いました —
ナンタケットバスケットの魅力は、形や素材だけでなく、それを生み出す人の姿勢や、美意識にも宿っているように感じます。今回は、バスケット製作をお願いしている作家・C先生に、ナンタケットバスケットへの思いや、製作についてお話を伺いました。
フランスやアメリカで暮らしたご経験をお持ちのC先生。
その佇まいからは、気負いのない自然体のエレガンスが感じられます。現在はお教室も運営されており、生徒さん一人ひとりの「作ってみたい」という気持ちを大切にしながら、楽しみつつ、最後まで完成させることを何より大切にされています。
ご自身の製作やオーダーバスケットに向き合う姿勢は、とても真摯です。深い探究心と変わらぬ情熱をもって取り組まれており、これまでに手がけられたバスケットは、オーダー品を含めると300点以上にのぼると伺いました。
ナンタケットバスケットは自然素材を用いるため、ひとつひとつの工程は決して単純なものではありません。製作の中で特にお好きな作業について伺うと、始めた頃は「無心で編むこと」そのものが、何より楽しかったそうです。
けれど、さまざまなバスケットを制作する中で、現在いちばん心惹かれる工程は「スティーブ挿し」だと教えてくださいました。
スティーブ挿しとは、ハサミでカットした籐を木型に沿わせ、バスケットの縦の骨組みとなる部分を一本ずつ挿していく工程のこと。手作りの木型には、それぞれに微妙な癖や個性があり、決して同じやり方が通用するわけではありません。
完成した姿を思い描きながら、その違いを感じ取り、一本ずつ手を進めていく。この工程が、バスケットの完成度にそのまま表れてくるのだそうです。楽しくもあり、同時にもっとも注意を払う、大切な時間だと話してくださいました。
C先生のバスケットを見ていると、製作に入る前に「これはエレガントか、そうでないか」を一度、心の中で問いかけてから作られているように感じます。編みの部分には、あえて手のかかる細いケーンを用い、長く愛用していただくことを前提に、ナンタケットバスケットが持つ本来の品格と、その先にいる持ち主の姿を思い浮かべながら製作されています。
時間では測ることのできない、手仕事の積み重ね。その丁寧さや、作り手の人柄が、ひとつひとつのバスケットの違いとなり、佇まいとして静かに表れているように思います。
それは、時間をかけて向き合う手仕事だからこそ、生まれてくる感覚なのだと思います。
